賃貸マンション、賃貸物件特選トピック

忘れてはならないのは、このことが受け手である読者の常識とも深く関連していることだ。家具の描写は探偵の観察眼の鋭さを示すと同時に、新しく登場した人物の性格、身分を読者に対して紹介する役割も担っている。つまりそこには、家具の描写に接した読者は、それによって物語中の探偵と同じように登場人物の性格や身分を感じとり得る、という前提がある。しかし、ぼく自身を含めて日本の翻訳ミステリー・ファンが、このいわば「家具からの情報」を欧米の読者と同じ精度で受けとめているかといえば、それははなはだ疑問である。

[参考サイト]
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と言うのは、日本では家具と人間の性格や身分との関わりが欧米ほど緊密ではないからだ。欧米のミステリーには、たとえば先の引用の中のティファニー・ランプのように、家具調度の姿形を表わす固有名詞がひんぱんに出てくる。だが、チペンデール風とかジョージアン様式とか言われても、それがどんなものか知らなければ、その家具を使っている人のイメージも思い浮かべようがないだろう。ぼくは建築家という仕事柄、一般の方々に比べれば多少は欧米の家具について知ってはいるが、それも専門書の図版で承知している程度で、実物に接したことのないものも多いし、ましてその特定の家具が人間のどういう性格、どういう身分に対応するのか、という欧米の常識についてはまったく自信がない。

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