現代は、両親は仕事、子どもは学業や習い事というように、家族の誰しもが忙しく、ただでさえ円滑なコミュニケーションを維持するのは難しくなっています。それに加えて、住居の構造が、家族のコミュニケーションを阻害するつくりになっているとしたら、家族の絆は解離こそすれ、深まるはずもありません。このような「家族のコミュニケーション不足」の話をすると、「家族全員が携帯電話を持てば、解消されるのではないか」という声が聞こえますが、これはそう単純な話ではありません。
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「電話で相手と話す」には、短縮ダイヤルを選択し、通話ボタンをプッシュしなければならず、積極的な意志と行動を必要とします。仕事上の都合で誰かに連絡をしなければならないとか、怪我や病気で救急車を呼ばなければならないのであれば、その切迫感から嫌でも電話をかけますが、他愛のないちょっとしたコミュニケーションのためなら、料金の安いメールで済ませてしまうでしょうし、相手がこちらのコールに反応しなくなることが続けば、そのうち人間関係そのものが消滅してしまうこともあります。携帯電話は、間接的であるために非常に手軽ではありますが、一方的で、相手と直接接していない分、いつでも解消されうる、脆弱なコミュニケーションしか生み出しません。また、「話をする」という積極的な意志と行動を必要とするため、日常的に、無意識に継続していくものとは言えません。
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